世上无难事 只怕有心人 ~東京から北京へ~

東京大学教養学部で国際関係論を学ぶ4年生。2016年9月から2017年6月まで北京大学に交換留学。

北京大ってこんな感じー雑感ー

北京大の学生と交流する中で、北京大のよいところ、悪いところに少しずつ気づいてきた(今のところボクにとっては「よいところ」のほうが多いのだが)。忘れないように、ブログの文章として書き留めておこうと思う。

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◯学生時代は学業が最優先
北京大学生の何が東大生と違うかといえば、まずは学業に対する意識が高いことだ。

というのも理由があって、北京大生のほとんどは1日をキャンパスの中で過ごす。キャンパスは東大の本郷キャンパスと同じくらいの大きさで、実際そこまで大きくはないのだが、その面積の半分くらいが学生寮に充てられており、殆どの学生が学内に住んでいる(学生寮の環境は決してよくない。4人1部屋の寮に四年間住むのである)。スーパーやコンビニ(最近ファミマができた)、銀行、郵便局、ジム、劇場などが全て大学内にあるので、大学内で生活が完結するのだ。

20時とか21時半まで授業があって、そのあと図書館に行って次の日の宿題をやる、みたいなことも珍しくはない。カップルのデートもキャンパス内で完結したりする。北京大のキャンパスの中には「未名湖」という湖があるのだが、夜にここに行くと‥(あぁぁぁぁぁ!)

◯大学院への進学
北京大の学生は、理系のみならず文系も、院に進学してナンボ、みたいなところがある。これはかなり意外であった。日本では文系の学生が院に行くと。残念ながら「普通のコースを外れた変わり者」「無駄に年を食っている人」と見られてしまうことが多いのではないだろうか。一方で中国では、院に行かないと「専門性がない人」と見られ、就職市場では人気がないのである。

海外の院を目指す人も多い。大学の食堂のテーブルの上には、海外進学をサポートするエージェンシーの「こんな私がオックスフォードに!?」的な広告が貼られている。東大や早稲田に行きたいという学生も一定数いるらしい。

ただボクからすると、院に進みにくい日本も問題であると思うが、院に行かなければならないという風潮のある中国もイヤである。正直、院に行ったところで仕事に必要な「専門性」が身につくかどうか怪しいと思うし、若くてエネルギッシュな時期を仕事に費やす選択肢があって然るべきではないか。

◯就職事情
ボクが「公務員になりたい」と中国人の友達に言うと怪訝な顔をされることが多い。十中八九、「公務員、安定してるからね~」という反応が返ってきて、「そうじゃないんだよな‥」と思う。北京大学生内での就職人気はだいたい以下の順になるらしい。

①外企(外資系企業)
優秀な層に人気があるのは、外資系の投資銀行コンサルティングファーム・IT企業(GoogleFacebookなど)である。これらの企業に人材を供給しているのが、いわゆる経営学部である「光华管理学院」だ。ここでは、一流企業から招いた講師による実践的な経営教育がなされており、卒業生の莫大な寄付により設備を年々拡充している。ちなみに法学部とか医学部は全然存在感がない。

②民企(民間企業)
ITやサービスの領域に関してだけは、規制が少なかったため、この10年間くらいで急速に、政府の資本の入っていない民間企業が育ってきている。特に人気があるのは、検索エンジンを運営する「百度(Baidu)」、巨大なECサイトの淘宝を運営する「阿里巴巴(Alibaba)」、中国版のLINEである微信などのサービスを持つ「腾讯(Tencent)」の「BAT」と呼ばれる3つの大企業である。ただボクからしたら、GoogleやLINEやAmazonに対する規制の恩恵をまさに享受しているBATも、国営企業みたいなものではないかと思ったりする。

③公務員
上で述べたように、公務員に対する印象は北京大学生の中ではあまりよくない。日本の公務員と比べて「裁量が少なく」「安定しているが窮屈な」職業というイメージが持たれているようだ。どちらかといえば北京大学よりも人民大学に、公務員志望の学生が多いということだ。

④国企(国営企業
自動車や鉄鋼などの国営企業は全く人気がない。中国の国営企業は、政府の保護政策によって「ゾンビ化」しており、政府の経済政策の変更も影響して非常に業績が良くない。国営企業インターンしたことのある学生(日本人)によると、従業員は「ほんとうにやる気がない」そうだ。

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ここまで書いて思うのだが、「北京大学が特殊」なだけではなくて、むしろその比較対象である「東京大学が特殊」「日本が特殊」でもあるのかもしれない。様々な国の留学生と話していても、学業への取り組み方や就職の文化において、中国は日本よりも欧米に近いと感じる。東大は一応日本でトップの大学ではあるが、本気で学業に取り組む生活を送る学生は、特に文系の場合非常に少ない。

ただその一方で、東大の方がよいと感じる点ももちろんある。北京大生の「エリート意識」はハンパじゃない。彼らは高校のころから「高考」(中国のセンター試験)で優秀な成績をとるために、部活もせずに朝から晩まで脇目も振らず勉強をしてきている。大学に入ってからは、アルバイトをすることもなければインカレサークルもないので、北京大学の外の人々と接する機会が非常に少なく、彼らの「エリート意識」が増幅されても不思議ではない。東大生は東大生で「エリート意識」を持っている(一部の人はかなりひどい)が、市井の感覚も持ち合わせている人は多いはずである。

さて、色々書いたものの、まだまだ北京大学生の友達は少なく、バイアスがかかりまくっているのが本当のところだ。サークルに入りそこなったのが非常に痛い。もっと様々な場所に顔を出して交流していきたい。